カチオン電着塗装をイラスト付きで解説!メリット、デメリットも

上下水道用の鋳物製品を製造している大洋産業では、製品がサビないように雨風から保護するため、塗装工程にカチオン電着塗装を取り入れています。
カチオン電着塗装の特徴を解説させていただきます!

カチオン電着塗装とは?

カチオン電着塗装とは水溶性塗料(※)を溶かした糟と浸漬させた製品の間に電気を流し、電気の力で塗膜を形成させる塗装方法で、自動車部品などでも多く使用されています。
大洋産業の塗装ラインはアクリル樹脂塗料を使用しています。糟の中で約300ボルトの電圧をかけることによって、40~60ミクロンの薄い塗膜を均一につけ、ムラのない塗装をすることが可能です。
 ※水溶性塗料…塗料を構成する溶剤が水のもの。特徴として、シンナー等の有機溶剤に比べると自然・人体に害が少ない。

「カチオン」ってどういう意味?

電気を流して塗装することから「電着塗装」というのはイメージがつきますが、それでは「カチオン」とは何のことでしょうか?
「カチオン」というのは、+の電気を帯びた「陽イオン」の事を言います。
製品をマイナス極に、電極をプラス極にして電着を行う塗装方法です。大洋産業の製品で使用している鋳鉄はこの方法で塗装される事が一般的です。
反対に-の電気を帯びた陰イオンでの塗装はアニオン塗装と言います。
一般的にカチオン塗装は弱アルカリ性、アニオン塗装は弱酸性の溶液になっており、酸の腐食に弱い鉄材はカチオン塗装向け、塗膜の密着性や電気的な理由でアルミニウム材はアニオン塗装向けといったように、溶液のアルカリ性・酸性や、浸す金属の性質によって、カチオン・アニオンと使い分けられています。

メリット

カチオン電着塗装のメリットは以下の通りです。

・防錆性が非常に高い

雨風に弱く錆びやすい性質のある鋳鉄鋳物ですが、電着塗装をする事で強固な塗膜ができ耐食性・耐水性にも優れます。

・均一な膜厚

塗料が入った糟へ製品を浸漬させるため、凸凹面があるもの・筒状等の奥まった形など複雑な形状の製品でも細部まで塗装する事が可能です。また、電気で塗膜を形成するため、電圧や浸ける時間によって膜厚を好みの厚さにコントロールすることも可能です。

・環境に優しい

前文でも解説したとおり水溶性塗料を使用しているため、鉛フリーな点や、有機溶剤と比較して比較的匂いが少なく、自然・人体に害が少なく環境に優しい点もあげられます。引火や揮発しにくいことから管理もしやすいです。

・安定した品質と大量生産が可能

塗装は自動ラインで行われているため、高い品質で生産が可能となっています。また、カチオン電着塗装で使用されている水溶性塗料は有機溶剤系と比べると比較的安価なため、低コストで大量生産が可能な点もメリットといえます。

デメリット

反対にデメリットは以下の通りです。

・耐侯性に劣る

耐水性には強いカチオン電着塗装ですが、一般的なエポキシ系のカチオン塗装は長時間の直射日光や紫外線には弱く劣化してしまうという点があります。
大洋産業が使用しているアクリル系塗料に関しては、比較的直射日光や紫外線に強いと言われています。

・塗装できるのは通電性があるもの

電気を使用した塗装法のため、通電性のある金属製品は塗装が可能ですが、プラスチック等は塗装する事ができません。また、デメリットと言うほどではありませんが、製品の入れ方によっては、接点不良(※)やエアだまり(※)による不具合が発生する可能性もあるため、製品の入れ方を工夫する必要があります。
 ※接点不良…製品が電極カゴ・吊るしなどに接地していないと電気が通らず塗膜がつかない。
 ※エアだまり…コップのように空気が抜けない形状の場合、空気に触れた部分が塗装できなくなる。

・塗装の色が限定される

色を変えようとすると、糟の中の塗料を入れ替える必要がでてくるため塗装色は限定されます。大洋産業では黒の塗料を使用しているので黒のみとなりますが、電着塗装を施したのち、樹脂入れを行ったり、粉末塗装(※)を行い色をつけるという方法もあります。
 ※粉末塗装…パウダー状の塗料を吹き付けて焼き付けコーティングをする方法。

今回はカチオン電着塗装について解説をさせていただきました!
大洋産業のカチオン電着塗装にご興味がある方は、ぜひお問合せください。

次回は大洋産業のカチオン電着塗装ラインの工程について、詳しく解説させていただきます!
次回もお楽しみに✨


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