鋳造工程で使用される『中子(なかご)』って何?~用途・作り方まで解説!~

製造工程の中で使用されることの多い中子(なかご)ですが、この中子を使うのはどのような意味があるのか?また、どのように作られているのか?気になりますよね!
中子の種類にも様々ありますが、大洋産業でも使用されているシェル中子について、解説をさせていただきます!

中子とは?

中子とは空洞部分がある鋳物製品を作る際に使用される砂型の事です。図のような円筒型のようなものや、ツボ型のものを想像すると分かりやすいです。
製品を鋳造してから加工で削り空洞部分を作るとなると、時間もかかり、削り取る金属のロスにもなります。そのため、鋳造時に鋳型の中へ中子をセットして金属を流し込む事により空洞部分を最初から作った状態で製品が作られます。
鋳型の中に置くため作業自体は簡単に思われますが、中子を鋳型へ置く際にズレないようセットするのは至難の業です。設置した中子がズレてしまったり、不安定な状態になると製品の厚さがバラついてしまいます。また、ノリ付けした中子が落下したり、中子を置く際に力をかけすぎて鋳型が崩れてしまうと製品の形が変わってしまう等、様々な不良原因となります。中子を安定して設置できるようにするためには、巾木(はばき)と呼ばれる支えになる部分も必要となってきます。巾木形状の設計も非常にノウハウのいる技術の一つで、中子を使って製品を作るというのはとても大変な作業です!

どのような特徴がある?

高温の溶かした金属を流し込む鋳造に使用されているため、耐熱性に優れています。
また、鋳型を作る時の振動や流し込む湯で崩れない程の強度も必要となります。一方で、固まった製品を鋳型から取り出す際に、衝撃で中子を崩壊させて取り除くため崩壊のしやすさも求められます。
そのため中子を作る際に使用する砂は、樹脂をコーティングした『レジンコーテッドサンド』と呼ばれる砂を利用して作られることが多いです。もとはサラサラの砂ですが、250~350℃の温度を一定時間加える事により焼結しますが、耐熱上限温度を超えると脆くなり、衝撃を加えると崩壊します。
また、シェル中子を作るには金型が必要になるため初期投資費用はかかりますが、量産向けの製造方法なのでランニングコストが安くなります。また、レジンコーテッドサンドは表面のコーティングを取り除けば、新砂と混ぜて再利用もできます。

中子はどのように作られている?

中子の造型方法にも様々ありますが、今回はシェル中子の作り方を例として解説させていただきます。
中子は砂で作られており、製造方法は熱硬化を利用したシェルモールド鋳造によって作られます。
珪砂の表面にレジンを薄くコーティングした砂(レジンコーテッドサンド)を約300℃に熱した金型に吹き付け、金型の熱で砂を硬化させます。強度が非常に強力になり、溶かした金属の熱膨張にも耐えられるため寸法精度も高くなります。
これ以外の製造では、炭酸ガスと水ガラスの化学反応を利用した炭酸ガス法、アミン触媒を利用したコールドボックス法等の製造法もあります。

中子を利用して作られる製品

中子を使用して作られる製品の一例としては、以下の通りです。

・自動車部品
・建設機械部品
・工作機械部品
・水道管
・水栓金具

私たちが普段生活をする中でよく目にするのが水道蛇口やバルブです。その他にも自動車のエンジン部品や、機械部品と言った複雑形状なものは、パズルのように組み合わせた組中子で作られるケースも多いです。

空洞部分を作る中子は、鋳物づくりをするうえでとても重要な役割を担っていますね!
大洋産業でも昨年5月から電気式中子造型機を取り入れ、中子造型を行っています✨
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次回の記事もお楽しみに!

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