「鋳造(ちゅうぞう)」と聞くと、大きな工場や高温の溶けた金属、専門的な機械を思い浮かべるのではないでしょうか。少し難しそうで、家庭で体験するのは難しいのでは?と感じるかもしれません。
しかし実は、鋳造の「基本的な仕組みを学ぶ体験」という意味では、特別な設備がなくても家庭で楽しむことができるんです。この記事では、家庭で学べる鋳造体験の方法について紹介します✨
そもそも鋳造って?

鋳造とは、あらかじめ作った「型」に溶かした金属を流し込み、冷やして固めることで形を作る加工方法です。自動車の部品やマンホールの蓋、フライパンなど、私たちの身の回りにある多くの製品が鋳造によって作られています。一見すると難しそうですが、基本的な工程は「型を作る・材料を流し込む・固めて取り出す」と実にシンプルな考え方です。
工場で行われる鋳造では、鉄やアルミなどの金属を高温で溶かして流し込みますが、家庭で鋳造の原理を学ぶ疑似体験をするだけであれば石こうやろう、チョコレートなどを代用することも可能です。金属以外でも「型に流し込んで形を作る」という原理は鋳造と同じです。
このように、家庭向けの鋳造体験は「本物の鋳造をそのまま再現する」のではなく、鋳造の仕組みや考え方を理解することを目的にしてみるのも良いでしょう。
※鋳造とは?~鋳造の特徴や工程、メリット・デメリットなどを解説!~
家庭でできる鋳造疑似体験
身近な材料を使って安全に楽しめる代表的な体験は以下のとおりです。
使用する型は百均で販売しているシリコン型や、型取りした粘土を作ってみると良いでしょう。
・石こう

石こうを使った方法は、家庭でできる体験の中でも特に取り組みやすい方法です。水で溶いた石こうを型に流し込むだけで形ができあがります。
石こうは時間が経つと少しずつ固まっていくため、「液体が固体にかわる様子」を目で見て確認できるのも大きな特徴です。
※石こう・・・建築や美術工芸などで使用される、水と混ぜて時間がたつと固まる性質を持つ材料。
・ロウ(キャンドル)

ロウを使用すると、実際の金属鋳造に近い「溶かして流し込む」工程を体感できる方法です。使い終わったキャンドルを湯せんなどで溶かし、耐熱性のある型に流し込みます。冷えると再び固まり、形が完成します。
温度管理や流し込みのタイミングなど、工夫次第で仕上がりが変わる点も学びになります。
・お菓子づくりで学ぶ

必ずしも工作材料に限る必要はありません。チョコレートやグミ、飴などを使った体験も、鋳造の考え方を学ぶ良い方法です。
材料を溶かしてシリコン型に流し込み、冷やして固める工程は鋳造と同じ流れになります。特に小さな子どもにとっては、身近で親しみやすい材料を使うことで、ものづくりの興味を自然に引き出すことができます。「型があるから同じ形ができる」という鋳造の特徴を、楽しく体験できる点が魅力です。
このように、家庭でできる疑似体験には様々な方法があります。どの方法も共通するのは「型に流し込み、固めて形を作る」という鋳造の基本原理を安全に学べる点です。
低融点金属を使った鋳造体験

より本格的に鋳造の雰囲気を体験したい場合、低融点金属(ていゆうてんきんぞく)を使った鋳造という選択肢もあります。低融点金属とは、比較的低い温度で溶ける金属のことで、条件を守れば家庭でも鋳造の工程を体験することが可能です。
代表的な金属が錫(すず)です。錫を主成分とした合金などもあり、ものによっては220~240℃前後で溶けるものも存在します。
一方で、低融点金属であっても火や高温の材料を扱うため、安全管理は必須です。必ず大人が作業を行い、耐熱手袋や保護具を着用し、十分な換気を確保する必要があります。
本来の鋳造方法では、型を砂で作る「砂型(※)」を使用することが多いですが、鋳物砂は取扱いも難しくなかなか手に入る物ではありません。そのため、身近なもので代用すると以下の方法がおすすめです。
※鋳型・製法による分類~砂型鋳造法について~
・耐熱性の高いシリコン型

作りたい形の模型の周りにシリコンを流し込み、固まった後シリコンから模型を抜き取ります。模型が引き抜けない場合は、シリコンを半分に切って模型を取り、再度隙間がないよう一つに合わせて固定してから金属を流し込みます。
・木板を使用した型

図のように、上部に穴を開けた状態の木板を2枚用意します。
厚さ2㎜以上のコルクシートを好きな形に切り取り、木板2枚の真ん中へ挟み込みます。隙間がないよう、両サイドを金具で固定したあと、木板上部の穴から流し込みをします。
安全に楽しむための注意点!
家庭でできる鋳造体験は、工夫次第で安全に楽しむことができますが、材料や方法によっては注意が必要な場面もあります。特に「熱」や「固まる材料」を扱うため、事前に安全面をしっかり理解しておくことが大切です。
①必ず大人が付き添う
石こうやお菓子を使う場合でも、基本的には大人が管理・付き添うことが前提です。特にロウや低融点金属など、加熱を伴う作業は子どもだけで行わないようにしましょう。
②火傷への対策を徹底する
ロウや低融点金属は、一般的な金属に比べて低い温度で溶けますが、それでも火傷の危険は十分にあります。耐熱手袋を着用し、直接触れないようにすることが重要です。
また、溶かした材料を流しいれた型も非常に熱くなる点や、型が水で濡れていた時・熱そうだから金属に水をかけて冷ました際に水が一気に蒸発し火傷をする可能性もあるため、注意が必要です。
③換気と作業環境を整える
材料によっては、加熱時に匂いが出ることがあります。必ず換気を行い、風通しを良くした場所でマスクを着用した状態で作業をしてください。また、作業台の上には不要なものを置かず、材料がこぼれても慌てず対応できるよう環境を整えておくことが大切です。作業台には金属製のバット等を敷き、周囲のプラスチック製品や床は熱で溶けたり変形する恐れがあるので、段ボールや麻布等を被せて保護するようにしましょう。
④型や道具の強度を確認する
シリコン型・粘土・木など身近な道具を使うことが多くなりますが、耐熱性や強度の確認は欠かせません。特に低融点金属は流し込んだ際、型が変形したり破損したりする恐れもあります。使用前に「この材料を使っても安全か」を確認しましょう。
⑤「家庭でできる範囲」を守る
家庭での鋳造体験の目的は、鋳造の仕組みを学ぶことです。無理に本格的な設備や高温作業を再現しようとすると事故に繋がる可能性があります。あくまで家庭で安全にできる範囲にとどめておくことが、楽しくできるポイントです。
家庭でできる鋳造体験は、特別な設備や専門知識がなくても、ものづくりの基本的な仕組みを学べる貴重な体験です。
型を作り、材料を流し込み、固まった形を取り出すというシンプルな工程の中には、工場で行われている本物の鋳造と同じ考え方が詰まっています。
石こうやロウ、お菓子など身近な材料を使えば、小さな子どもでも安全に鋳造の考え方に触れることができます。また、低融点金属を使った発展的な体験では、金属ならではの重さや質感を通して、より本格的な鋳造の雰囲気を感じることもできるでしょう。
家庭鋳造体験の魅力は、完成品だけではありません。うまくいかなかった原因を考えたり、次はどうすればよいかを工夫したりする過程そのものが、大切な学びになります。

また、もっと本格的な鋳造を体験してみたい!という方には、実際の設備や材料を使った鋳造体験という選択肢もあります。
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次回の記事もお楽しみに✨



