砂型に使用される鋳型(いがた)には、作られる製品によって下記のように様々な製造法があります。
●砂型鋳造法
生砂型
自硬性
熱硬化性
ガス硬化性
Vプロセス
消失模型鋳造法
●金型鋳造法
重力金型鋳造法
低圧鋳造法
高圧鋳造法
ダイカスト法
●その他特殊鋳造
精密鋳造法(ロストワックス、インベストメント法)
遠心鋳造法
連続鋳造法
その中でも、今回は砂型鋳造の製造法を解説していきます!
生砂型(なますながた)
生砂型では、主に珪砂が使用される事がほとんどです。珪砂へベントナイトと呼ばれる粘結材や、造型性・型ばらし性を向上させるための添加物(石炭粉等)を混ぜたものに、水を加えて混錬し鋳物砂を調整します。
模型をセットした枠に鋳物砂を投入し、手動・もしくは機械等で圧力を加えて成形し、上型・下型を作り模型を外し、上型・下型を合わせることでできた空洞部分に溶かした金属を流し込みます。
この方法は大洋産業でも使用しており、前回の『鋳造とは?~鋳造の特徴や工程、メリット・デメリットなどを解説!~』でも工程を詳しく紹介させていただいております!
鋳物砂を回収することにより繰り返し使用することができ、模型が1つあれば何回でも同じものが作れるところもメリットと言えます。
自硬性(じこうせい)
自硬性の鋳型については、作り方は生砂型とよく似ていますが、化学反応によって鋳物砂を硬化させるので、常温で放置するだけで鋳型が作られます。
代表的なもので、フラン自硬性があり、珪砂に有機系のフラン樹脂と硬化剤を混ぜ、砂を固める方法があります。
生砂型と比較すると、型崩れ・砂型の熱膨張、収縮のリスクが少なく、寸法精度の高い鋳型ができることや、完成した製品の表面が比較的綺麗な状態になるところがメリットと言えます。
その一方で硬化する速度が気温や湿度によって影響を受けやすく管理が難しいというデメリットがあります。
樹脂や硬化剤の分コストがかかること、一定時間以内に造型を終えないと砂が硬化しきって使えなくなることから、精度を重視する少量生産の場合は自硬性を、量産性を優先する場合は生砂型を選択する場合が多いです。
熱硬化性(ねつこうかせい)
熱硬化性の鋳型で代表的なものが、シェルモールド鋳造です。
珪砂の表面にレジンを薄くコーティングした鋳物砂(レジンコーテッドサンド)を300℃程に熱した金型に吹き付け、金型の熱で硬化する製造法です。
砂を熱で固めることで強度が非常に強力で、溶かした金属の熱膨張にも耐えられ、寸法精度も高いため自動車部品等の製造にも用いられます。
また、比較的少量の砂でも中空形状で成形できるため、量産品の中子(なかご)などにも多く用いられます。
※中子…製品の空洞部分を形成するため鋳型内に収める砂型
ガス硬化性
ガス硬化性の鋳型については、水ガラスを混ぜた珪砂で自硬性と同じ要領で鋳型をつくり、炭酸ガスを鋳型へ注入し硬化させる方法です。
自硬性・熱硬化性同様、鋳型の強度・寸法精度が高い点がメリットと言えます。また、ガスを通期させるまでは砂が固まり始めないため、時間と共に硬化が進んでしまう自硬性と比較すると造型時間の自由度が高い点もメリットとなります。
しかし、固めてから時間が経つと強度が落ちてくることや、水ガラス・炭酸ガスを混ぜているため砂の再利用が難しい点がデメリットとしてあげられます。
Vプロセス
この製造法では、他の製造法と異なり鋳物砂に粘結材・添加剤を使用しません。
模型をプラスチックフィルムで覆い熱をあて密着させた後に枠を被せ、乾燥させた珪砂を入れ、砂の表面にもフィルムを張り吸引することで型をとって作る鋳型です。
模型に直接砂がつく事がないため、模型の摩耗がすくなく、鋳型に空気を入れることで元の砂に戻るため、型ばらしをした後も砂処理が簡単に行えるメリットがあります。
消失模型(しょうしつもけい)
消失模型鋳造では、鋳型は上記に挙げた方法等を用いて造型しますが、模型に発砲スチロールを使用していることが特徴的です。
製品となる形状の模型を発泡スチロールで作り、その模型を鋳物砂の中へ埋め込みます。
通常は鋳型の中の模型を一度引き抜きますが、消失模型では引き抜かずに埋め込んだままの状態で溶かした金属を流し込み、発泡スチロールを燃焼・気化させてできた空洞へ溶けた金属が流れ込み製品となる製造法です。
この方法では、空洞部分をつくる中子を必要としないため、複雑な形状の製品も簡単に作ることができます。
また、模型を引き抜く必要がないため、他の製造法ではできないような逆勾配形状でも造型できる事、分割面のバリ(余分な凹凸)が出ない点もメリットと言えます。
その反面、毎回模型を作る必要があるため量産品には向いていない点はデメリットと言えます。
今回は砂を使用した製造法の一例を解説させていただきました!
ここで紹介した方法以外にも沢山の鋳造方法があり、とても興味深いですね🤔
次回は、金型を使用した鋳造法の解説をさせていただきます✨