大洋産業の品質管理とは?~品質管理課の業務を解説!~

大洋産業には、「鋳造部」「工作部」「技術開発部」「営業部」「経営企画部」5つの部署があります。その中でも、製品の品質管理を兼任して行っているのが「技術開発部」です。
今回の記事では、技術開発部の中でも品質管理を担当している『品質管理課』の業務について解説させていただきます!

大洋産業の品質管理課では、製品のもととなる溶湯(ようとう)の材質の確認、完成品の確認、原型となる金型の管理と様々な業務があります。

そもそも品質管理とは?

製造業における品質管理とは、製品の品質を一定の水準に保ち、顧客満足度を向上させるための業務です。Quality Control を略して「QC」と呼ばれることもあります。
原材料の検査、生産工程の管理・改善を行うことで品質が保たれ、顧客満足向上・ブランドイメージ向上へ繋がるほか、不具合品の確認・再発防止を行うことで、不良品の発生を未然に防ぐことができコスト削減にも繋がります。
品質管理業務とは、会社にとってとても重要な役割を担っています。

検査業務

大洋産業の品質管理課では、製品のもととなる溶湯(ようとう)の材質の確認、完成品の確認、原型となる金型の管理と様々な業務があります。
製品の材質や、製品自体の検査を以下のように行います。

材質検査

材質検査では様々な試験機を使用し、製品に適した材質になっているかチェックを行います。
大洋産業の製品は鋳鉄(※)を使用していますが、金属を溶かす溶解(ようかい)作業の途中で様々な添加剤を入れ、製品に合わせた材質となるよう調整していきます。
※鋳物の金属の種類による分類と解説~鉄系金属~

・発光分光分析装置
電気炉で調整した溶湯からサンプルを採取し、発光分光分析装置を使用して成分を分析します。その結果をもとに、製品に合わせた材質となるよう取鍋へ投入する添加剤の量を計算します。
その後さらに、抜き打ちで取鍋からサンプルを採取して分析値を確認します。

・引張試験機
テストピースと呼ばれる試験用のサンプルを鋳込み、冷却後に基準寸法へと加工します。
このテストピースで引張試験機でテストを行い、どれくらいの強度まで耐えることができるのか、引張強度・伸びを測定します。

・金属顕微鏡
テストピースの一部を切り出し表面を研磨し、金属顕微鏡で球状化率を観察します。黒鉛がどれくらい丸くなっているかチェックをし、80%以上球状化が出来ているかを確認します。

・ブリネル硬さ試験
ブリネル硬さ試験機にかけ、凹みの直径を測定することで硬さを調べます。

引張強度・伸び・球状化率・硬さ等、お客様の要求事項の規格を全てクリアして、はじめて材質合格となります。

外観・機能・寸法試験

鋳造では様々な要因で不具合が出やすいことが課題と言われています。一見、製品ができているかと思われても、小さな穴が開いていたり、製品の形が不完全な状態で固まっていたりすることもあります。また、一見同じような出来に見えても鋳型の膨張や主型の消耗等、日々状態が変化しています。そのため完成した製品は、外観はもちろん、寸法確認も行い不具合がないかをチェックしていきます。
製品によっては、蓋と枠を合わせて出荷するものもあるため、嵌合がしっかりできてるか、ネジ式になっている箇所はしっかり噛み合うのか等、機能性のチェックも欠かせません。

検査書作成(トレーサビリティ管理)

前文でも述べたとおり製品の検査を行い問題ないことを確認した後、材質に関する検査書や、製品の外観・寸法機能に関する検査書等を発行しています。
なぜこのようなデータ必要になるかというと、不具合が見つかった場合
 ①なぜ起こったのか原因を特定するため
 ②その原因はいつからいつまでが対象なのか
 ③対象の製品を再検査し、他に問題はないか確認をする
といった調査のため、いつどのような条件で作った製品なのか追跡できるようにするためです。これをトレーサビリティ管理と言います。

不具合品の集計

前文でも解説した通り、鋳造では様々な不具合品が出てしまいます。製品の種類が非常に多い大洋産業も例外ではありません。
製品を作った時、その製品はどのような不具合が発生しやすいのか、その不具合はどの工程でどのような条件で出たのか、頻度や割合など不具合原因を集計し原因究明を行います。

不具合原因の分析・対策

溶かした金属の材質、鋳型へ溶かした金属を流し込む時の温度管理・スピード、鋳型のもととなる砂の性質・水分量の調整、金型の老朽化など、不具合品には様々な原因があります。
集計で得た情報を分析し、製品に合わせた対策を考えることで不具合品を無くしていくことがとても重要となります。
例えば製品にコブのような形状が出たとして、
・100個中の5~6個だけ連続で出た場合、鋳型の水分値が低くなり砂が飛んでしまった可能性が高いです。
・30個連続で不具合が出た後、突然戻った場合は中子(※)を入れる作業者が変わった場合があります。
・何日経っても同じ個所に出続けるのであれば金型に問題があるかもしれません。
・その他の製品でも不具合が多発するようであれば、設備不具合が起こっているかもしれません。
このように、あらゆる可能性を考慮しながら、日々の変化を見逃さないよう、絶えず現象と原因を考え対策することが重要となってきます。
※鋳造工程で使用される『中子(なかご)』って何?~用途・作り方まで解説!~

その他にも、新製品の試作品のテスト製造や、作業標準書・指示書・注意書の作成やマニュアル作成、副資材の管理なども行っています。そんな技術開発部では、一緒に働く仲間を募集しています!
鋳物に興味がある方、専門知識を身につけたい方、ぜひこちらからご応募ください!

次回の解説もお楽しみに✨

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